[]「言い寄る」


田辺聖子さんの、乃里子三部作の一作目「言い寄る」が漫画化されていました。
花津ハナヨさんがどういう漫画を描く人なのかは知らないけれど、
絵の感じからして、買ってまでは読まないでしょう・・・。

去年。復刊された三部作を一気に読みました。
田辺さんの小説は初めて読んだのですが、30年前に書かれたとは思えない瑞々しさ。
お金も名声もそこそこあって、時間をつぶす相手にはことかかない。
1人で生活する分には不自由しないけれど・・・
今の都会に住む女子にもありそうなシチュエーション。

設定よりも、関西弁の台詞で進むテンポのよさは逸脱。
なんせ、描写が細部にわたってるんですよ。
小物や下着の表現がね、実に愛らしい。
好きな男が家でシャワーを浴びて何もせずに帰宅されて、悶々とする主人公とか・・・。

「どうしても手に入れられない男がいる・・・」というキャッチコピーでした。
「どうしても手に入れられない男」は結局幻想の中の生き物でしかないということがよくわかる。
実際は、現実にファンタジー世界を与えてくれる男の手の中で転がされていくわけなんです。
その男性と、「恋人」→「夫婦」→「友達」と関係が変化していくんですが、
こんなうまくいくわけないじゃんかーと突っ込みたくなります。
まあそれは小説の醍醐味。素敵な夢をみさせてくれればそれでよいのです。

今は田辺さんの別の小説を読んでいますが、
再度読み返してみます。
主人公と同じ年齢が終わる前にね。

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